八代目大谷友右衛門のもう一つの大きな功績は、実の息子である2人の役者を立派な歌舞伎俳優へと育成し、明石屋の芸を着実に次代へ繋いでいる点です。
長男の三代目大谷廣太郎(1987年生)は、父譲りの安定感ある立役として頭角を現し、時代物の武士や世話物の若旦那役など、品格と力強さを兼ね備えた演技で着実に評価を高めています。一方、次男の二代目大谷廣松(1993年生)は、祖父・四代目雀右衛門のDNAを強く感じさせる可憐な美貌と柔軟な身体性を活かし、注目の若手女形として大役への抜擢が相次いでいます。
関係者の証言によると、友右衛門の家庭内での指導は決して感情的な押し付けではなく、「役の性根(しょうね)をいかに掴むか」を論理的かつ厳格に教え込むスタイルだといいます。立役の廣太郎には骨太な肚(はら)の据え方を、女形の廣松には立ち居振る舞いや間合いの美しさを伝授し、兄弟それぞれの個性を最大限に開花させています。