1993年の放送当時、脚本家・野島伸司が仕掛けたストーリーテリングは、お茶の間に強烈な激震を走らせた。心優しい高校生だった柏木小梅が、卑劣な罠によって暴行被害に遭うという展開は、それまでの月9が持っていたトレンディで華やかなイメージを根底から覆すものだった。
目を背けたくなるような理不尽と絶望。被害者でありながら好奇の目に晒され、自責の念に苛まれる小梅の姿は、当時の社会が抱えていた冷酷さを容赦なく炙り出していた。野島伸司は単にショッキングな事件を描くこと自体を目的としたのではない。底知れぬ暗闇に突き落とされた人間が、どのようにして再び前を向くのかという「再生のプロセス」を描き切るために、徹底的な光と影のコントラストを画面上に生み出したのだ。