こうした危機的状況を打破するため、国と民間が連携して進めているのが「科学的アプローチへの大転換」です。
1. 水産庁によるTAC(漁獲可能量)制度と厳格な資源管理
従来の「獲れるだけ獲る」乱獲体制から脱却し、水産資源の持続可能性を保つため、水産庁はTAC(Total Allowable Catch:漁獲可能量)の対象魚種を順次拡大しています。個々の漁船や事業者ごとに漁獲枠を割り当てる「IQ(個別割当方式)」の導入が進められ、魚が小さいうちに獲り尽くす過度な競争を抑制する仕組みが定着しつつあります。
2. 海のDX「スマート水産業」の社会実装
現場の「勘と経験」に頼ってきた操業は、先端テクノロジーによって劇的に変化しています。
- 海洋観測衛星とAI魚探:人工衛星データとドローン、AI搭載ソナーを組み合わせ、海水温や潮目をリアルタイム解析して魚群を高精度に予測。探索時間を短縮し、重油消費量を20〜30%削減。
- 自動給餌システムと陸上養殖:IoTセンサーが養殖魚の食欲を画像解析して無駄のない給餌を実現。さらに環境負荷を抑え、寄生虫リスクを排除した「閉鎖循環式陸上養殖」が大手企業主導で全国各地に新設されています。