雄英高校に潜伏していた内通者の正体が青山優雅であると判明した際、読者の間に広がったのは怒りではなく、あまりにも過酷な境遇への同情と衝撃でした。彼がスパイ活動を行っていた理由は、悪意や野心からではなく、「家族の命を守るため」という逃れられない脅迫にありました。
名家に生まれた青山ですが、実は生まれつき「無個性」でした。超常社会において無個性が受けるであろう差別や将来の苦難を憂慮した両親は、我が子の幸せを願うあまり、人々に個性を与え奪う力を持つ闇の支配者オール・フォー・ワン(AFO)に接触。息子へ個性を授けてもらう取引を交わしてしまいます。
しかし、それは底なしの支配の始まりでした。AFOから与えられた恩義はやがて絶対的な服従要求へと変わり、「命令に背けば両親もろとも命を奪う」という脅迫のもと、青山は雄英高校への進学と情報提供を強制されることになります。USJ襲撃事件や林間合宿でのヴィラン連合襲来など、クラスメイトが命の危機に瀕する裏で、彼は絶望と罪悪感に押しつぶされながら暗躍を強いられていたのです。