画面には「5G」と表示されているにもかかわらず、データが一切流れてこない――。いわゆる「パケ詰まり」現象の背景には、地上から地下へと電波を引き込む設備の物理的な限界がある。
地下鉄のトンネル内では、地上のように自由に大型基地局アンテナを設置することができない。限られたスペースに漏洩同軸ケーブル(LCX)を敷設し、そこから電波を放射する仕組みが一般的だが、5Gの高周波帯域は減衰が激しく、従来のケーブル設備では十分な出力を維持できないのだ。通信障害の多発や速度低下は、急激に増大するデータ通信量に物理インフラの更新ペースが追いついていないことを雄弁に物語っている。