ロケーションの選定理由を探るべく現地へ向かうと、そこには独特の地理的魅力が広がっていた。大分県別府市に位置する志高湖は、阿蘇くじゅう国立公園の一角にあり、四季折々の自然と静謐な水面が印象的な景勝地だ。その湖畔近くに建つ志高荘は、元々は地域振興を目的とした国民宿舎として親しまれてきた歴史を持つ。
制作関係者は「山間部の気候がもたらす深い霧と、昭和の佇まいを残す建築様式が、作品の持つ切迫感や孤立感を表現するうえで唯一無二のロケーションだった」と語る。近代化された都市部では決して再現できない、時間の流れが止まったかのような異空間。別府の豊富な温泉文化や歴史的背景も、物語の隠されたピースとして組み込まれているという。