入門当初、世間からは「タレントの気まぐれな副業」と穿った見方をされることも少なくありませんでした。しかし、月亭方正はその色眼鏡を自らの高座で粉々に打ち砕いてみせます。年間100席以上もの舞台に上がり、寄席の楽屋でも先輩・後輩問わず貪欲に意見を求める真摯な姿勢は、落語界の重鎮たちをも唸らせました。
故・桂歌丸や笑福亭鶴瓶をはじめとする上方・江戸の名匠たちも、彼の噺家としての資質を高く評価しています。彼の落語が「天才的」と評される最大の要因は、登場人物の感情を観客に生々しく伝える憑依型の表現力と、長年のテレビ経験で培われた抜群の間合いにあります。
古典落語の代表的な演目である『阿弥陀池』や『大工調べ』、『子別れ』などの人情噺では、客席を涙と笑いで包み込みます。また、自ら筆を執る新作落語も高く評価されており、出囃子には自身が過去に歌ってヒットしたアニメソング『ヤマザキ一番!』を三味線とお囃子でアレンジした楽曲を使用するなど、自身のルーツをユーモアに変える粋な演出で会場を一気に沸かせています。