小松菜奈がCHANELの「ハウスアンバサダー」に就任したのは、今から遡ること2016年のことである。当時まだ20歳前後だった彼女がメゾンの顔に抜擢された背景には、故カール・ラガーフェルドや後継のヴィルジニー・ヴィアールが追求し続けた「自立した芯の強い現代女性像」との親和性があった。
アンバサダー就任の主な理由として、ファッション業界関係者は以下の要素を挙げる。
- 圧倒的なアンニュイさとイノセンスの共存:ひと睨みで空気を支配する鋭い眼差しと、無邪気で透明感のある笑顔が織りなす二面性。
- 東洋的でありながら無国籍なビジュアル:西洋の伝統的なクチュールを現代的かつストリート感覚を交えて着こなす身体感覚。
- 映画界で磨かれた表現力:単に着せられるモデルではなく、衣服に宿るストーリーを身体全体で演じ切るアクターとしての憑依力。
象徴的だったのは、2026年秋冬コレクションにおいて、小松菜奈がキャンペーンの単独ヒロイン(ミューズ)に選ばれたことだ。会場中央に設置された巨大なカメリア(椿)のモニュメントには、彼女の顔が巨大なプロジェクションとして映し出された。日本人としてメゾンのコレクション全体のインスピレーション源となるのは極めて異例の快挙である。この歴史的な晴れ舞台に夫である菅田将暉が同伴したことは、メゾン側にとっても彼女のアイデンティティと幸福を祝福する最高の演出となった。