1970年代から80年代にかけて『超人ハルク』の主演として世界的な人気を誇り、ボディビル界の伝説としても君臨したルー・フェリグノ。彼は乳幼児期の感染症が原因で、聴力の8割以上を失っていた。長年にわたり補聴器を頼りに苛烈な撮影現場を生き抜いてきた彼が、60代半ばを迎えて決断したのが人工内耳の手術だった。
「風の音や、人の囁き声の微細なニュアンスまで鮮明に聞こえた瞬間、涙が止まらなかった」と彼は振り返る。肉体の圧倒的な強さで人々を魅了したヒーローが、音を取り戻したことで見せた素顔と素直な感動。彼の告白は、難聴の悩みを抱えながらも一歩を踏み出せずにいた世界中の人々に、途方ない勇気を与えた。