「独身だから死亡保障はいらない」――この説は半分正解で、半分は間違いだ。遺された家族の生活費を担保する必要がない単身世帯にとって、数千万円規模の高額な死亡保険が無駄であることは言うまでもない。だが、問題の本質は「自分が死亡したとき」ではなく、「病気や怪我を抱えながら生きていくとき」のリスクをどう評価するかにある。
保険が完全に不要なのは、突発的な入院や数ヶ月の無収入状態に耐えられる十分な自己資金(最低でも数千万円規模の即金性資産)を確保している層に限られる。一方で、貯蓄形成の途上にある若年層や自営業者などの場合、たった一回の大病や怪我で資金繰りが破綻する懸念を排除できない。生命保険協会の調査データを見ても、単身世帯における保険加入率は決して低くなく、万が一の生活防衛手段として合理的に選択されている実態が浮かび上がる。