湯の質に徹底的にこだわるのも現代の銭湯の特徴だ。多くの名湯が、敷地深くから汲み上げる天然の地下水を使用している。肌当たりの柔らかい水、薪でじっくりと沸かした湯のまろやかさは、家庭の給湯器ではどうしても再現できない深みを持つ。
最近では、サウナブームの過熱が一巡し、原点である「純粋な温浴と水風呂のサイクル」を静かに楽しむ客が増えた。耳を澄ませば聞こえてくるのは、カランと響く桶の音と、湯口から溢れる水のせせらぎだけ。五感を余計なノイズから解放し、自分の身体感覚を取り戻すための儀式として、日々の入浴を再定義する人が増えている。