動画共有サイトやオークションサイトの質問欄で時折見かけるのが、「電動車椅子のスピードリミッターを解除して時速10km以上で走りたい」「モーターの配線を変えれば速くなるのか」という改造への言及です。結論から申し上げますと、電動車椅子のリミッター解除は完全な違法行為であり、極めて高い法的リスクと物理的危険を伴います。
道路交通法上の「歩行者扱い」は、前述の通り「最高速度が時速6kmを超えない構造であること」が絶対条件です。もしリミッターを解除したり改造部品を組み込んだりして時速6kmを超える性能を持たせた場合、その乗り物はもはや法律上の「車椅子」とは認められません。
法的には「小型特殊自動車」や「原動機付自転車」、あるいは該当する規格のない「無認可車両」に区分が変わります。この状態で歩道を走れば「歩道通行義務違反」に問われ、車道を走れば方向指示器・尾灯・クラクションなどの保安基準を満たしていないため「整備不良」となります。さらに運転免許を所持していなければ「無免許運転」として刑事責任を追及される事態に直面します。
行政処分にとどまらず、民事上の賠償リスクも致命的です。メーカー公認外の改造を施した車両で人身事故を起こした場合、個人賠償責任保険や介護保険の適用外となる公算が極めて高くなります。最高速度をわずか数キロ引き上げた代償として、数千万円単位の損害賠償金を自己負担する破綻リスクを抱え込むことになります。