水前寺成趣園の命とも言えるのが、園内中央に広がる湧水池だ。しかし、かつては周辺の都市化や熊本地震などの影響により、一時的に水量が減少する事態に見舞われたこともあった。この危機に立ち上がったのが、地元自治体、熊本大学の水質研究者、そして地域住民による広範な流域保全ネットワークだ。
2026年までに完了した持続可能な地下水涵養(かんよう)施策とリアルタイム水質モニタリングシステムの導入により、池の水位と透明度は完全に回復。現在では、季節や天候を問わず、阿蘇の恵みである清涼な水が絶え間なく湧き出ている。透明な水底に揺れる水草と、そこに集う野鳥たちの姿は、都市と自然が奇跡的なバランスで共生している証拠でもある。