高麗屋の御曹司である七代目市川染五郎(現・十代目松本幸四郎)と、音羽屋の令嬢である寺島しのぶ。歌舞伎界屈指の名門に生まれた二人は、物心がつく前からの幼馴染として育ちました。互いの家を行き来し、家族ぐるみの付き合いを続ける中で、自然と恋心が芽生えたのは1990年代後半のことです。
当時、染五郎は抜群の端整なルックスと確かな演技力で女性ファンを熱狂させ、歌舞伎界の次世代エースとして脚光を浴びていました。一方の寺島しのぶも、父・七代目尾上菊五郎、母・富司純子というサラブレッドの血を引きながら、女性ゆえに歌舞伎の舞台に立てない葛藤を抱えつつ、文学座で頭角を現していた時期です。
二人の交際は公然の秘密であり、梨園関係者だけでなく世間一般からも「名門同士のビッグカップル」「結婚は時間の問題」と祝福ムードで見守られていました。寺島自身も染五郎を深く愛し、将来を見据えて献身的に支えていたと伝えられています。