特撮ヒーローの現場は、テレビ画面越しに見る華やかなファンタジーとは裏腹に、極限の環境下で行われる肉体労働です。歴代スーツアクターたちの自著やインタビューでは、過酷な撮影秘話が生々しく語られています。
例えば、夏場の屋外ロケでは密閉されたラバースーツ内部の温度が50度近くに達し、わずか1テイクで数リットルの汗が噴き出します。さらに、マスクの覗き穴(視界)はスリット状の極小の穴や複眼の網目部分に限られており、遠近感や足元の視界は極端に遮断されます。その暗闇に近い視界の中で、数メートルの高さからの飛び降りや、火薬の爆発に合わせたミリ単位の立ち回りを狂いなくこなさなければなりません。
こうした極限状態を支えているのが、JAEが半世紀かけて構築してきた「阿吽の呼吸」です。トランポリンを踏み切るタイミング、爆破スイッチを押す特効スタッフとの信頼関係、相手役のスタントマンとの間合い。命を預け合う現場だからこそ、徹底した技術とチームワークが受け継がれているのです。