大道芸の終盤、必ず訪れるのが「投げ銭(帽子にお金を入れてもらう行為)」の時間だ。これは単なる寄付や喜捨ではない。観客が自らの意思で、受け取った感動の価値を数値化し、直接アーティストへと支払う非常にダイレクトな対価である。
大道芸人たいちは、この投げ銭の時間を極めて誠実に扱う。押し付けがましさのない爽やかな口調で感謝を述べつつ、パフォーマンスという「サービス」に対する正当なプライドを示す。紙幣や硬貨が帽子に投げ入れられる音は、その場の観客とアーティストとの間で結ばれた熱い契約の証明だ。
提示された入場料を払って見る受動的な観劇とは異なり、投げ銭は観客が能動的に「参加」する体験となる。自ら財布を開き、手渡しで応援の気持ちを伝える過程を通じて、観客とパフォーマーの間に温かな信頼の回路が繋がっていく。