日常生活で発生する紙幣の破損事故は、単純な「破れ」だけではありません。アクシデントのパターンごとに求められる初期対応を整理しました。
1. ポケットに入れたまま洗濯機で回してしまった場合
近年の日本銀行券は耐久性の高い特殊な和紙原料(みつまた・マニラ麻など)が使われているため、水に濡れた程度で繊維が溶けて消えることはありません。問題は「乾燥のさせ方」です。
濡れた紙幣に高温のドライヤーを至近距離で当てたり、アイロンを直に押し当てたりすると、ホログラム部分が熱で収縮・変形し、偽造防止加工が破壊されてしまう恐れがあります。キッチンペーパーに挟んで水分を優しく吸い取った後、風通しの良い日陰で自然乾燥させるのが最も安全です。
2. 誤ってシュレッダーにかけてしまった場合
オフィスの重要書類に混ざって紙幣を細断してしまった場合でも、決して諦める必要はありません。日本銀行では、細断された断片であっても「パズルのように模様・記番号・紙質を照合し、同一紙幣の断片として組み合わさった面積」を評価対象とします。
散らばった断片をできる限りすべて回収し、マスキングテープ等で固定せず、プラスチックケース等に分別して日本銀行へ持ち込みます。日銀の鑑査官による手作業の高度鑑定が行われ、面積基準を満たせば全額または半額で戻ってきます。
3. 火災やボヤで黒焦げ(炭化)になってしまった場合
火災に遭った紙幣は、一見すると真っ黒な灰に見えても、「灰の形状のまま紙幣の模様や面積が視認できる」状態であれば、残存面積の一部としてカウントされます。
灰は触ると一瞬で崩れ去ってしまうため、絶対に手で払ったり掴んだりしてはいけません。硬い箱や密閉容器に慎重に移し、崩さないよう細心の注意を払ってそのまま日本銀行本支店へ持ち込む必要があります。