山梨県側の吉田口登山道の起点に鎮座する「北口本宮冨士浅間神社」は、一歩境内に足を踏み入れた瞬間、外界とはあきらかに異なる空気の重厚さに驚かされる。参道を取り囲むのは、樹齢数百年から一千年を超える杉やヒノキの巨木群だ。
古来、富士山講の修験者たちは、この地で身を清め、登拝への一歩を踏み出した。重厚な木造建築の本殿や勝海舟ゆかりの建造物は、文化財としても極めて高い価値を持つ。大自然の生命力と、幾世代もの人々の祈りが蓄積された空間は、意志を固め、新たな決断を下したいと願う人々に揺るぎない勇気を与えてくれる。