狂言の長い歴史において、女性が舞台に立つことは極めて稀な例であった。しかし、長女の和泉采明は、幼少期から厳格な稽古を積み重ね、しなやかさと力強さを兼ね備えた狂言師として確固たるポジションを築きつつある。
学業においても、彼女は一切の妥協を許さなかった。学生生活を送りながら週末や長期休みには全国の公演に出演するという過密日程を消化。大学での学びと伝統芸能の継承という二つの草鞋を履く姿は、同世代の若者にとっても大きな刺激となっている。舞台の上で見せるピンと伸ばした背筋と澄んだ声は、父・和泉元彌譲りの美徳だ。