教育・保育施設や小売流通の現場において、季節のビジュアルが果たす役割は単なる飾り付けにとどまりません。現場で日々子どもたちや顧客と向き合う担当者への取材から、デザインがもたらす具体的なコミュニケーション効果が浮かび上がってきました。
都内の民間認可保育所で園だよりを担当する保育士(30代)は、実務での気づきを次のように語ります。
「12月の園だよりや行事プログラムは情報量が多いため、文字ばかりだと保護者の方が見落としがちになります。そこで、見出しの横にサンタイラスト保育園向けのほのぼのとしたカットを入れたり、提出期限の囲み枠にトナカイを添えたりすると、視認性が大幅に上がります。子どもたちも『あ、サンタさんだ!』と指をさして喜んでくれるため、登園時の会話のきっかけとしても欠かせません」
また、個人経営の洋菓子店オーナーは、クリスマス商戦における販促ツールの手応えについてこう証言します。
「既製の印刷されたケーキ箱に、スタッフが手書きしたサンタのメッセージカードを添えてお渡ししたところ、SNSに写真をアップしてくださるお客様が前年比で約1.4倍に増えました。立派な既製ポスターよりも、少し不揃いでも温かみのある手書きイラストのほうが、『自分たちのために作ってくれた』という情緒的価値(エモーショナルバリュー)として届いている実感があります」
このように、洗練されたプロのデザイン素材と、現場の手作業による手書きビジュアルを適材適所で使い分けることが、受け手の感情を動かす鍵となっています。