物語の推進力となっているのが、九条間人とイソ弁・烏丸真司の奇妙な師弟関係です。最高峰の学歴を持ち、大手四大法律事務所(渉外弁護士事務所)への就職も容易だったはずの烏丸が、なぜ吹き溜まりのような九条法律事務所に身を置いているのか。この疑問は読者の間でも長く議論されてきました。
烏丸は単なる「お人好しな助手」ではありません。彼自身もまた、机上の空論としての法ではなく、泥沼の現実社会で実際に人間を救い、あるいは破滅させる法の本質を渇望しています。倫理的には到底許されない凶悪犯を論理のすり替えや手続きの不備を突いて釈放させる九条の姿に、烏丸は嫌悪感を抱きつつも、弁護士としての圧倒的な実力に魅せられています。
回を重ねるごとに、烏丸は九条の思考プロセスを吸収し、時に九条すら驚かせる冷徹な法的判断を下すまでに成長していきます。二人の関係は単なる師弟を超え、光と影、あるいは互いの存在意義を補完し合う共犯関係へと変化していく過程が本作の大きな見どころです。