ネット上で流布しているレシピ情報の中には、調理科学の観点から見ると逆効果になりかねない誤解も散見されます。
代表的な誤解が「肉汁は体に悪いので全てきれいに拭き取るべき」という言説です。確かに酸化した余分な油脂は捨てるべきですが、フライパン底部に残るアミノ酸やイノシン酸の固着物は旨味そのものです。全てを拭き取ってしまうと、市販ソースをただ温めただけの薄っぺらい味になってしまいます。
さらに、玉ねぎすりおろしソースを作る際の加熱不足も盲点です。生のすりおろし玉ねぎには強い辛味成分(硫化アリル)が含まれており、生煮えの状態で合わせるとソース全体がツンとした刺激臭に支配されます。玉ねぎをすりおろして使う場合は、調味料と合わせる前に電子レンジ(600Wで40秒)で加熱するか、フライパンで透明になるまでしっかり炒め合わせて甘みを引き出す工程が不可欠です。