昭和レトロなサブカルチャーが多角的に再評価されるなかで、緊縛アートの表現に対する見解も大きく様変わりしています。かつては日陰の存在とみなされていたモノクロ写真が、構図の美しさや質感、情念を捉えた写真芸術として国内外のギャラリーで展示される機会も増えました。
緊縛において縄は、拘束具であると同時に人体の曲線を際立たせる「描画の線」でもあります。モデルの安全と信頼関係の上でしか成立しない職人技、すなわち縄の美学は、現代において「Shibari」という国際共通語となり、世界のコンテンポラリーアートやモードファッション界にも波及しています。その源流にあったのは、昭和の薄暗いアトリエで表現者たちが追求した妥協なきクラフトマンシップに他なりません。