この異色作を立ち上げたのは、脚本家・宮藤官九郎と主演・阿部サダヲという長年タッグを組んできた黄金コンビだ。宮藤官九郎の洗練されたセリフ回しと阿部サダヲの圧倒的な演技力は、単なる懐古主義にとどまらない深い批評性を作り上げた。
同時に巻き起こったのが、若年層を中心とする昭和レトロ文化への熱狂である。喫茶店のクリームソーダやダイヤル式電話、ダサくも愛おしいファッション。Z世代にとって、不便だが情に厚い昭和の世界観は鮮烈な体験として映った。宮藤と阿部の企みは、世代間の分断を笑いに昇華させ、互いの歩み寄りをもたらす架け橋となった。