既成の生地を購入して服を仕立てるのが効率的とされる業界で、ゼロから図案を起こし、糸の選定や織り方まで自社で設計する手法は極めて特異だ。デザイナーの手から生まれるスケッチには、空を舞う鳥や野に咲く花、風の揺らぎといった日常の小さな愛おしさが息づく。
それを生地として立体化するため、日本各地の伝統工芸的な技術を持つ産地工場と密接な対話を重ねる。複雑な刺繍や特殊な織り構造は、スピード重視の現代の工場では敬遠されがちだ。しかし、試行錯誤を繰り返しながら理想の表現を形にしていく。100年続くブランドを目指すこの歩みは、目先の消費速度に対する静かで強力な対立軸となっている。