フライデー事件を乗り越えたビートたけしですが、その人生にはさらなる試練と波乱が待ち受けていました。特に彼の人生観と表現活動を決定的に変えたのが、1994年8月に発生した原付バイク事故です。
東京都新宿区の路上で深夜にバイクで転倒し、ガードレールに激突。頭蓋骨陥没骨折や右頬骨粉砕骨折など瀕死の重傷を負い、一時は生命も危ぶまれました。奇跡的に一命を取り留めたものの、顔面麻痺などの後遺症が残り、壮絶なリハビリを経て復帰会見を行った姿は世間に強い衝撃を与えました。
この「死の淵」を経験したことが契機となり、北野武としての映画制作はより研ぎ澄まされ、1997年『HANA-BI』でのヴェネツィア国際映画祭・金獅子賞受賞をはじめとする世界的な評価へと昇華していきました。