しかし、ネットカルチャーにおける過激化の波がペペの運命を狂わせます。2015年から2016年にかけての米大統領選挙において、白人至上主義や反移民を掲げる過激派集団「オルタナ右翼(Alt-Right)」が、ペペを政治的プロパガンダのアイコンとして組織的に利用し始めたのです。
ペペの顔にナチスの軍服を着せたり、差別的なメッセージを組み合わせた悪質なコラージュがネット上に大量投下されました。悪意を持ったミームの拡散は止まらず、ついに2016年9月、アメリカの有力人権団体であるADL(名誉毀損防止同盟)が、ペペを「かぎ十字」や「KKKのシンボル」と並ぶヘイトシンボル(差別的憎悪の象徴)として公式データベースに登録する事態に発展しました。
自らの愛した創作物が、知らぬ間に人種差別や憎悪の旗印として世界中に報道されるという悪夢。作者であるマット・フューリー氏の苦悩は計り知れないものでした。事態を重く見たフューリー氏は2017年5月、公式コミックの中で棺桶に入ったペペを描き、自らの手でキャラクターを公式に死亡させるという苦渋の決断を下しました。