行政のパンフレットに記された手順はシンプルに見えますが、実際の現場では市民が想定していない物理的・時間的な障壁が立ちはだかります。編集部が収集した住民の証言や現場の利用動態からは、机上の空論ではないリアルな課題が浮かび上がってきます。
「引っ越し当日、軽トラックに不用品を満載して区の環境事業所へ行ったら、荷台の固定が不十分だと指摘され、ロープの締め直しを求められた。その後、大江破砕工場へ移動したものの、臨海部のトラック渋滞に巻き込まれ、受入終了の15時40分ギリギリで滑り込むことになり冷や汗をかいた」(昭和区在住・30代男性の証言)
特に注視すべきは、車両に関する軽トラック搬入基準と積載状態の厳格なチェック体制です。名古屋市では、事業活動に伴って生じた産業廃棄物の不正流入を阻止するため、環境事業所の計量ゲートにおいて搬入車両の積載状況を綿密に目視確認します。自家用車や一般的な軽トラックであれば問題ありませんが、レンタカーを使用する場合は「一般家庭から出たごみであることの証明」として、搬入者本人の現住所が確認できる運転免許証や公共料金の領収書などの提示を求められます。
さらに、大江破砕工場の内部は巨大なごみピットが広がる産業施設であり、家庭用のクリーンセンターのような親切な荷下ろし補助スタッフは配置されていません。プラットホームに車をバックで付けた後、ピットの深淵を前にして自らの手で重量物を安全柵越しに投げ入れる作業が求められます。腰を痛めやすい高齢者や女性の単身搬入においては、現場の過酷さに圧倒されるケースも珍しくありません。