もちろん、ここに至るまでの道のりは平坦ではなかった。世界的なコーヒー豆の価格高騰、小麦粉や卵、バターの相次ぐ値上げは、低価格を売りにしていた名古屋の喫茶店文化を直撃した。一時期は廃業を余儀なくされる個人店も相次ぎ、文化そのものの存続が危ぶまれた歴史がある。
しかし、店主たちは知恵をしぼった。近隣の店舗同士で食材を共同調達してコストを抑えたり、朝のモーニングタイムと午後のティータイムでメニューの打ち出し方を大胆に変えたりと、緻密な経営努力を重ねた。サービスを切り詰めるのではなく、品質を上げて適正価格を提示する姿勢へ転換したことが、結果として顧客との強い信頼関係を再構築することにつながった。