第13話の中盤、暗闇の倉庫街で繰り広げられた乃木と黒須の密談。あの短いやり取りの中に、今作最大のレトリックが隠されている。乃木の表情は終始無機質であり、一見すると「別班としての冷徹さ」を取り戻したかのように見えた。だが、彼が端末を操作する手指の動きに注目してほしい。モールス信号を思わせる独特の指のタップは、かつてシーズン1でも用いられた『隠密通信』のパターンと完璧に一致する。
乃木はテントの残党を欺くだけでなく、自らが所属する別班の「司令」をも同時に欺こうとしているのではないか。彼が追っているのは単なる組織の壊滅ではない。バルカ共和国の地下に眠る希少金属資源を巡り、日米中が繰り広げる裏の覇権争いに、自らの手で終止符を打つことだ。第13話で明かされた「アディエル基金」の資金流出ルートは、まさにその巨大なパズルのピースの一つに過ぎない。