長野の山麓から届く透明な熱気「スタジオ プレパ」吹きガラスの造形美と手仕事の真価

中央アルプスと南アルプスに囲まれた長野県上伊那郡中川村。四季の移ろいが鮮烈に目に飛び込んでくるこの地に、ガラス工房「スタジオ プレパ(Studio Prepa)」はある。平勝久(ひらかつひさ)と平瑞穂(ひらみずほ)という夫婦二人三脚で運営されるこの工房からは、現代の量産品が失った手仕事の質感と、削ぎ落とされた機能美を合わせ持つ作品が次々と生み出されている。

スタジオ プレパが手掛けた器を手に取ると、誰もがそのしっくりと手になじむ重みと、素朴でありながら研ぎ澄まされた造形に目を見張る。熱気あふれる窯の前で交わされる息の合った作業。言葉を交わさずとも、互いの動きを察知しながらガラスの塊に命を吹き込んでいく。彼らのモノづくりには、現代社会が見落としがちな「道具としての器」の原点が宿っている。

スタジオ プレパ(Studio Prepa)は、長野県中川村に拠点を置く平勝久・瑞穂夫妻による吹きガラス工房です。デザインから製作までを一貫して自ら行い、自家製の溶解窯でシンプルかつ機能的なグラスティーポットやペンダントライト、再生ガラス製品を制作しています。

項目 詳細情報
工房名 スタジオ プレパ(Studio Prepa)
主宰者 平 勝久(ひら かつひさ)・平 瑞穂(ひら みずほ)
拠点 長野県上伊那郡中川村
主な制作物 グラスティーポット、コーヒーサーバー、ランプシェード、器、再生ガラス作品
製造スタイルの特徴 完全手作業、自家製溶解窯の運用、デザインから仕上げまでの一貫生産
代表的イベント Holz(盛岡)、松屋銀座(東京)等のギャラリー・百貨店での個展・企画展

長野県中川村の豊かな自然が育む「スタジオ プレパ」の造形哲学

スタジオ プレパが工房を構える中川村は、「日本で最も美しい村」連合にも加盟する豊かな風土を誇る。澄み切った空気、清らかな水、そして移り変わる光の陰影。この自然環境は単なる作業の場にとどまらず、彼らの作品における色彩感覚や透明感の源泉となっている。

工房名の「プレパ(Prepa)」は、準備や調合を意味する言葉に由来する。素材の状態を見極め、窯の温度を調整し、理想の形を導き出すための入念な「準備」。この過程こそが作品の品質を決定づけるという強烈な自負が込められている。装飾的な過飾を排除し、使う人の生活にすっと溶け込むデザイン。それでありながら確固たる存在感を放つ造形美は、丁寧な手仕事の蓄積からしか生まれない。

自家製溶解窯と分業を行わない「完全手仕事」へのこだわり

スタジオ プレパの最大の特徴は、ガラスを溶かすための溶解窯(タンクカマ)を自ら設計・構築している点にある。市販の既製窯に依存せず、自らの手でメンテナンスや調整を繰り返すことで、ガラス材の融解温度や粘性を極限までコントロールできる。

ガラス工芸の世界では、デザイン、吹き、削り、磨きといった工程を分業化することが珍しくない。しかし、彼らはデザインから最終の仕上げに至るすべてのプロセスを自分たちの手で完結させる。

  • デザインの一貫性: 頭の中にあるイメージを直接手からガラスへと伝達できる。
  • 素材との対話: 溶解度や色合いの変化をリアルタイムで観察し、微小な修正を加える。
  • 品質管理の徹底: すべての工程を二人の目で確かめるため、不純物や歪みを最小限に抑えられる。

このこだわりが、均一でありながら一つひとつに微小な個性が宿る特別な仕上がりを可能にしている。

スタジオ プレパの吹きガラス作品
阿部 裕樹

阿部 裕樹

エンタメ専門ジャーナリスト

マネー知識やキャリア形成に役立つノウハウを、初心者にも分かりやすく解説するのが得意です。