遺産分割協議書を作成する際、最もミスが発生しやすいのが各財産の「特定方法」です。通称や略称で記載すると、登記官や銀行の審査担当者から突き返される原因になります。代表的な3つのパターンにおける正確な記載ルールを確認してください。
1. 不動産(土地・建物)の記載例:登記事項証明書を完全転記
不動産は住所(住居表示)ではなく、必ず「登記事項証明書(登記簿謄本)」に記載されている地番や家屋番号をそのまま転記します。
【土地の記載例】
所在:東京都世田谷区○○町一丁目
地番:123番4
地目:宅地
地積:150.25平方メートル
【建物の記載例】
所在:東京都世田谷区○○町一丁目123番地4
家屋番号:123番4
種類:居宅
構造:木造瓦葺2階建
床面積:1階 55.00平方メートル / 2階 45.00平方メートル
※マンション(区分所有建物)の場合は、「一棟の建物の表示」「専有部分の建物の表示」「敷地権の表示」を漏れなく転記する必要があります。
2. 預貯金の記載例:金融機関・支店・口座番号・利息の明記
銀行の相続手続きでは、解約時点の利息を含めて誰が引き継ぐかを明確にしておく必要があります。
【預貯金の記載例】
銀行名:○○銀行 ○○支店
口座種別:普通預金
口座番号:1234567
名義人:被相続人 ○○ ○○
(※文末に「上記預金およびこれに付随する既経過利息の一切を含む」と明記すると手続きが極めて円滑になります)
3. 代償分割(特定の相続人が他の相続人に現金を支払う場合)の記載例
「長男が実家の土地・建物を単独で相続する代わりに、次男へ現金500万円を支払う」といった手法を代償分割と呼びます。この場合、金額だけでなく支払い期日や振込手数料の負担まで明記しないと後日の金銭トラブルに直結します。
【代償分割の文言例】
「相続人 ○○ ○○ は、第1条記載の不動産を取得する代償として、相続人 ○○ ○○ に対し、令和○年○月○日までに金500万円を、後者の指定する銀行口座に振り込んで支払う。振込手数料は前者の負担とする。」