足が速い人と遅い人の決定的な違いは、筋肉の太さや脚の長さではなく、「接地した瞬間にどれだけ強い力を前方への推進力に変換できているか」という点にあります。陸上短距離走における最新の運動生理学では、トップ選手ほど地面に足がついている時間(接地時間)が短く、垂直方向に強い力をかけて強烈な反発をもらっている事実が明らかになっています。
小学生の50m走指導において即効性を持つ裏ワザの一つが、「地面を後ろに蹴らない」意識への転換です。多くの足が遅い子どもは、地面を力任せに後ろへ強く蹴ろうとするあまり、足が後ろに流れて次の脚が前に出るのが遅れる「足流れ」の現象を起こしています。推進力を生み出す本質は、「上から下に素早く足を踏み下ろし、跳ね返ってきた力を利用して素早く前に引き戻す」シザース動作に他なりません。
骨盤をわずかに前傾させ、重心の真下に足を落とす感覚を掴むだけで、筋力を一切増やさずとも50m走で0.3秒〜0.5秒のタイム短縮を実現するランナーが続出しています。