細田守監督の手によって張り巡らされた劇中の伏線は、細部を観察するほど緻密だ。主人公・小磯健二の元に届いた謎の暗号メール。あれはラブマシーンが世界中の数学的才能を持つ人間に送りつけた挑戦状であり、侘助が組み込んだ知識欲求型の学習アルゴリズムそのものだった。
さらに興味深いのは、侘助が使う暗号キーや端末に刻まれた意匠だ。彼は一族を拒絶するような素振りを見せながらも、パスワードやパーソナルデータに陣内家ゆかりの数字や家紋の要素を密かに組み込んでいた。言葉では「こんな家」と吐き捨てながらも、魂の深い部分では陣内家から離れられなかった男の葛藤が、インターフェースの細部から滲み出ている。