片桐はいりの名を不動のものにした代表作の一つが、荻上直子監督の映画『かもめ食堂』(2006年)です。フィンランドのヘルシンキを舞台に、小林聡美やもたいまさこと共に紡ぎ出した素朴で味わい深い世界観は、今なお色褪せない名作として愛されています。
個性派女優としての評価にとどまらず、彼女は優れた文筆家としても高い評価を獲得してきました。『私のほんとうの話』をはじめとするエッセイ作品では、日常の些細な出来事を独特の観察眼と軽妙な筆致で切り取り、読者をクスリと笑わせながらも深い共感を呼び起こします。
誰かに依存することなく、自らの言葉と身体表現で独自のポジションを築き上げた軌跡が、彼女の揺るぎない自立心の土台となっています。