この巨大な闇を突き崩す決定打となったのは、バージニア・ジュフリーの揺るぎない覚悟だった。未成年時にエプスタイン一味によってロンドン、ニューヨーク、そしてカリブ海の私有島へと連れ回された彼女は、英国王室のアンドルー王子から性的虐待を受けたと実名で告発。王室という不可侵の権威に真っ向から立ち向かった。
ジュフリーによる米民事訴訟は、英王室に未曾有の危機をもたらした。アンドルー王子は疑惑を一貫して否定したものの、軍の役職や公的称号を返上せざるを得ない状況に追い込まれ、最終的には巨額の和解金を支払う形で法廷闘争に終止符を打った。だが、金銭による幕引きが人々の記憶を消し去ることはない。彼女が示した勇気は、どれほど強大な後ろ盾を持つ特権階級であっても、真実を語る個人の声を完全に圧殺することはできないという決定的な前例を打ち立てた。