キャリアを振り返る上で欠かせないのが、シチュエーションコメディの金字塔『やっぱり猫が好き』だ。アドリブと台詞の境界線を軽々と飛び越えるような掛け合いは、当時のテレビドラマ界に新鮮な衝撃を与えた。型にはまらないテンポ感と、どこか憎めない愛嬌は、この時代にすでに確立されていたといえる。
やがてその軽やかさは、伝説的なヒューマンドラマ『すいか』へと結実する。世間の「当たり前」から少し外れた人々が集う下宿先で、迷いながらも今日を生きる主人公・基子の姿は、今なお多くの視聴者の心を救い続けている。何気ない朝食の風景や縁側での会話劇。彼女が紡ぐ日常のスケッチは、普遍的な輝きを放ち色褪せることがない。