「バス車内の通話は単なるマナーの問題であり、法的なペナルティはない」と思い込んでいる利用者は少なくありません。しかし、公共交通機関における車内通話は、明確なルールと約款に裏打ちされた契約違反・迷惑行為に該当します。
道路運送法第23条および国土交通省が定める「一般乗合旅客自動車運送事業標準運送約款」の第49条等では、乗客に対して車内の秩序を乱す行為や、安全な運行を阻害する行為を禁止しています。バス会社各社の運送約款においても、「他のお客様に迷惑を及ぼす行為」や「運転者の注意を逸らす行為」を厳しく禁じており、度重なる指示に従わない場合、乗務員(運転士)には以下の正当な権限が認められています。
- 乗車の拒絶および途中下車命令:運送約款に基づき、通話をやめない乗客に対して運行を停止し、降車を命じる措置。
- 警察への通報と身柄引き渡し:注意に対して威嚇や暴言、運行妨害に及んだ場合、威力業務妨害罪や鉄道営業法・道路運送法関連規程に準じた法的対応。
とりわけ路線バスは、鉄道のように専用の軌道を走るわけではなく、歩行者や他車が入り乱れる一般道を数ミリ単位のハンドル操作でコントロールしています。運転士はバックミラーを通じて車内外の安全を常に確認しており、車内で突如として生じる通話の声や、それに腹を立てた乗客同士の小競り合いは、運転士の集中力を決定的に奪う「走行中の重大な事故要因」に直結します。