『金色夜叉』の魔力は、活字の世界にとどまらなかった。昭和期には大映株式会社をはじめとする映画会社が競うように銀幕へ移植し、長谷川一夫や山本富士子といった大スターたちが演じた映画『金色夜叉』は空前の興行収入を叩き出した。スクリーンに映し出される熱海の波しぶきと情念の交錯は、戦後日本の大衆文化を決定づけた。
現代においてもその熱量は衰えていない。NHKオンデマンドで過去の文芸ドラマアーカイブが再評価される一方、動画配信サービスのNetflixや世界的な配信網で展開されるダークな復讐劇の原型として、『金色夜叉』のプロット構造が改めて脚光を浴びている。持てる者と持たざる者の分断、信じた愛の崩壊、そして資本による復讐──この普遍的なテーマは、最新のデジタルプラットフォーム上でも強烈な牽引力を放ち続けている。