だが、ここに歴史研究・出版業界が刮目する決定的な見落としが存在する。男子の後継者が途絶えたからといって、秀長の生命の連なりそのものが消え失せたわけではない。秀長には実の娘たちが存在していた。
その一人、大善院(菊姫)の存在が極めて重要だ。彼女は秀吉の養女となり、後に名門・毛利家の血を引く毛利秀元へと嫁いだ。さらに、秀長の別の血筋や養女たちも、有力な外様大名や公家へと嫁ぎ、その胎内を通して秀長の遺伝子を後世へと受け継がせた。系図の「男系断絶」という文字の裏側に、したたかに生き残った女系による血脈のリレーが隠されていたのである。