2000年代後半、お笑い界はショートネタブームの熱狂の只中にあった。『爆笑レッドカーペット』で放たれたテンポのいいローテーション漫才や、日常の気まずいシチュエーションを切り取った上質なコントは瞬く間に大衆を虜にした。所属するワタナベエンターテインメントを代表する看板トリオへと駆け上がり、『キングオブコント』の決勝常連組として、数多のゴールデン帯バラエティ番組を席巻した時代だ。
しかし、ネタ番組の縮小とともに、ひな壇での瞬発力や人間関係の立ち回りが求められる時代へ移行する中、3人の歯車は徐々に狂い始めた。杉山裕之のキャラクター付けをめぐる葛藤、ネタ作りと現場のハンドリングを背負い続けた坪倉由幸の消耗、そして谷田部俊のポジションの希薄化。成功体験の裏側で、トリオ内のパワーバランスは静かに軋みを上げていた。