税制や社会保障の分野でも同様の歪みが指摘されている。複雑化した制度の隙間を突き、巧妙に自己利益を最大化する「ハック術」がネット上で持て囃される一方、制度を信じて愚直に納税し続ける中間層の負担は増すばかりだ。ルールの抜け穴を探す能力が「知性」と呼ばれ、ルールを守ることが「弱さ」とされる社会に、未来はあるのだろうか。
専門家は、こうした社会の「ハック化」が行き着く先は、相互不信によるコストの増大だと警告する。契約書がどれだけ分厚くなっても、相手を信用できなければ取引は成立しない。誠実さを軽視したツケは、最終的に社会全体のコストとして全員に跳ね返ってくる。