疑惑の焦点は「大学を卒業したかどうか」という個人的な経歴から、「公権力の私的乱用があったか」という国家統治の規範問題へと完全にシフトしている。とりわけ東京都庁とエジプト大使館、ひいてはエジプト政府との関係性には異様な影がつきまとう。
知事在任中、東京都はエジプトに対する様々な支援や交流事業を加速させてきた。これが純粋な自治体外交なのか、それとも自身の学歴担保を取り付けるための「国境を越えた取引」だったのか。元側近の手記には、声明文発出の見返りとして相手国への便宜供与を示唆するような生々しいやり取りが記されていた。
外交は政治家の個人的なスキャンダル隠蔽のために存在するのではない。仮に都の予算や公的資源がその担保として使われていたとすれば、それは背任にとどまらず、国際的な汚職構造にも等しい背徳である。