長年続いてきた「知っているか否か」を問うペーパーテストの時代が、静かに終わりを迎えつつある。文部科学省が掲げる新学習指導要領の全面運用に伴い、学校教育が目指す方向性は「知識の蓄積」から「思考の活用」へと大きく舵を切った。
変化の波は即座に入試へと波及している。大学入試センターが主導する大学入学共通テストでは、複数のグラフや歴史的文書、登場人物による対話文を複雑に組み合わせた問題が定着した。与えられた情報をその場で整理し、前提条件を見抜く力がなければ、制限時間内に解答にたどり着くことは困難だ。
この潮流は大学入試にとどまらない。首都圏を中心とする中学受験の現場でも、従来の出題パターンを逸脱した設問が激増している。実験結果の不備を指摘させたり、現実の社会課題に対する解決策を記述させたりする問題は、いまや珍しくない。詰め込み教育で身につけた知識は、スタートラインに立つための前提条件にすぎなくなったのだ。