滋賀県醒井養鱒場のルーツは、明治時代初期の1878年(明治11年)にまで遡ります。当時の滋賀県令(知事)であった松田道之らの主導により、内水面漁業の振興と水産資源の増殖を目的に設立されました。公営の鱒類増殖施設としては日本最古の歴史を持ち、現在も滋賀県水産試験場の研究施設としての機能を併せ持っています。
同施設が140年以上の長きにわたり高品質なトラウトを育み続けられる最大の要因は、水源である宗谷川の圧倒的な水質と水温の安定性にあります。伊吹山系から湧き出る湧水は、年間を通じて水温約12度前後を維持しており、冷水性のサケ・マス類にとって理想的な生育環境を提供しています。場内には大小数十の養魚池が階段状に配置され、孵化から稚魚、成魚に至るまでの育成プロセスを間近で観察できる構造となっています。
観光エリアとしての見どころも豊富で、全長1メートルを超える巨大な「チョウザメ」が泳ぐ池での餌やり体験(専用カプセル自販機あり)や、天然記念物にも指定される淡水魚の展示コーナー、四季折々の原生林に囲まれた散策路など、教育的価値と癒やしが融合した空間設計が施されています。