『小学8年生』が生まれた背景には、日本の出版業界および教育環境における劇的な構造変化が存在します。
かつて小学館は、入学前の『めばえ』『幼稚園』から始まり、『小学一年生』から『小学六年生』まで全学年対応の月刊誌をラインナップしていました。ピーク時には数百万部を誇った黄金期がありましたが、2000年代以降、少子化の急速な進行やスマートフォンの普及、YouTube・ゲームコンテンツへの可処分時間の移行により、部数は減少の一途をたどりました。
その結果、2009年から2017年にかけて『小学二年生』から『小学六年生』は相次いで休刊・廃刊へと追い込まれます。定期刊行の月刊学年誌として残ったのは、入学特需に支えられた『小学一年生』のみという厳しい現実に直面しました。
しかし、小学校2年生以上の児童に向けた「知的好奇心を刺激する紙媒体」の需要が完全に消滅したわけではありませんでした。そこで小学館が打ち出した起死回生の戦略が、月刊定期誌ではなく、季節ごとにテーマを絞って発行する特別ムック形式での『小学8年生』の創刊(2017年)でした。学年別の縦割り編集を解体し、1冊にリソースを集約することで、高品質な企画と豪華な付録を両立させるビジネスモデルへと転換を図ったのです。