逆くしゃみと外見や音が非常に似ており、鑑別が極めて重要な疾患に「気管虚脱」と「軟口蓋過長症」があります。これらは放置すると呼吸不全やチアノーゼを引き起こす危険な病気です。
気管虚脱との違いにおける最大のポイントは、「吸気時」か「呼気時」かという点です。逆くしゃみが息を吸い込むときに起きるのに対し、気管虚脱は潰れた気管を空気が通る際に「ガーガー」というアヒルの鳴き声のような異音(ガチョウ様鳴音)を息を吐くときに出すのが特徴です。また、気管虚脱は運動時や興奮時に症状が悪化しやすく、咳を伴いながら進行していく慢性疾患です。
一方、パグやフレンチブルドッグに代表される軟口蓋過長症は、喉の奥にある軟口蓋(上あごの奥の柔らかい部分)が生まれつき長すぎるために気道を塞いでしまう構造的異常です。起きているときだけでなく、睡眠時にも激しいいびきをかいたり、日常的に「フガフガ」「ブーブー」と呼吸音が鳴り続けたりする場合は、単純な逆くしゃみではなく軟口蓋過長症を含む短頭種気道症候群を疑う必要があります。