なぜこれほど多くの人が間違えた順番を覚えてしまうのか。最大の要因は、「必」という漢字の見た目が「心」に斜め線(ノ)を突き刺した形に見える点にある。
視覚的なゲシュタルト崩壊に近い現象だ。脳が勝手に既知の「心」というパーツを認識し、それに1本線を足せば完成すると誤解してしまう。しかし、文字の構造上、「必」と「心」は筆順の組み立てにおいて全く別のロジックを持っている。
思い込みによる書き癖は一度定着すると修正が難しい。自分では正しく書いているつもりでも、手書きの場面でペン先が滞る原因は、この構造上の勘違いに起因していることが多い。