横浜高校を語るうえで、名将・渡辺元智前監督が築き上げた黄金期を避けて通ることはできない。平成の怪物と呼ばれた松坂大輔を擁して春夏連覇を達成した1998年をはじめ、幾多の栄光が校舎の壁やグラウンドの土に刻み込まれている。その偉大な歴史こそが、時に後継者たちにとって巨大な壁となって立ちはだかってきた。
村田浩明は、その歴史を誰よりも肌で知る当事者だ。自身も選手として厳しい指導を受け、甲子園の熱狂を体感した。だからこそ、過去への敬意を胸に抱きつつも、過去の模倣では現代の野球に勝てないことを痛感している。「偉大な歴史を否定するのではなく、今の球児たちに合った最高の環境をつくる」。その言葉には、名門の看板に甘えることなく、自らの足で新たな伝統を創り出す覚悟がにじむ。