ネット上の掲示板やレビューサイトでは、時折「押切蓮介 画力 評価」を巡る議論が交わされます。いわゆる緻密なデッサン力や美麗な美少女描写を基準にする層からは「絵が独特すぎる」「粗い」と評されることがあるのも事実です。しかし、漫画編集者や同業者、熱心な読者からの評価は全く異なります。
押切蓮介の描く線の本質は、「感情の起伏をダイレクトに読者の視神経へ叩き込むプリミティブな表現力」にあります。
激しい怒りや恐怖に歪む顔面のシワ、狂気を宿した瞳の鋭さ、あるいはキャラクターが心を通わせた瞬間に見せる不器用な笑顔など、登場人物の感情の爆発がこれ以上ない生々しさで表現されます。また、怪異や幽霊を描く際のおどろおどろしい黒のベタ使いや、泥臭く躍動するアクションシーンの迫力は、写実的なデッサンだけでは決して生み出せない独自の領域です。
恐怖とギャグは紙一重であるとよく言われますが、押切蓮介はその境界線を自在に行き来します。震え上がるような怪異の表情を描いた直後に、次のコマでそれをぶん殴るギャグ描写へと滑らかにシフトできる卓越したコマ運びと画風のバランス感覚こそ、プロのクリエイターからもリスペクトを集める最大の理由です。